"A"-square
所在地 | 熊本県熊本市 |
竣工年 | 2008年 |
規模・構造 | 木造2階建て |
用途 | 専用住宅 |
敷地面積 | 138.53㎥ |
建築面積 | 68.86㎥ |
延床面積 | 120.91㎥ |
撮影 | 久野啓太郎 |
掲載誌 | 「Yea!」DIME増刊 デリすぱ |
範囲を限定して外部に開き、内に広がる住空間
ルーバー雨戸がプライバシーを確保しつつ風、光を取り込む。
敷地は商店街を少し入った閑静な住宅街に位置する。しかしながら、近隣商業地域に属するこの地域は、背の高いマンションと古くからの民家が混在するところでもあり、細い生活道路は毛細血管のように入り組んでいる。
設計にあたっては、近接する建物と生活道路に囲われたこの土地で、いかに、周囲に閉じすぎることなく、プライバシーを確保した上で明るく開放的な家とするかを考え、リビングやキッチンなどの生活空間を2階に配置したプランを採用した。
2階リビングの計画として悩ましいのが子供室の位置だ。通常は寝室などと一緒に1階に配置することが多いが、今回お施主さんの強い意向もあり、リビングを通過した上での子供室へのアプローチがもとめられていた。そうなるとどうしても2階部分のボリュームが大きくなってしまうのだ。そこで今回の計画では、洗面脱衣室からつながる洗濯物干しスペースと和室の縁側をキャンティレバー下の屋根のあるスペースとして利用することで全体ボリュームの調整をおこなった。そのうえで、1階と2階をつなぐ玄関ホールは短手方向に縦方向に広がり、2階部分は吹き抜けとは直行した長手方向に水平に広がる空間とし、メリハリをつけた空間構成としている。
吹き抜けた玄関ホールの上部にはトップライトがもうけられ白いタイルで仕上げられた明るい空間となっており、そこにかかるスケルトンの鉄骨階段をあがると、おおきな開口部を有するリビング空間がひろがる。2階はひとつながりの空間なっており、一番東端に子供室、その手前にワークスペースが家具や吹抜などでゾーニングされ配置されている。空間を部屋で区切っていくのではなく囲われた空気の量をデザインすることを心がけている。
敷地の南側には隣地や道路越しではあるが、小学校の樹木やその上に広がった空をのぞむことができる。それを生かすため、リビング空間では視線をなるべく上にもっていくよう開口部を工夫。通常はテラスで使う背の高いサッシを天井基準の高い位置に腰壁をつけて設置している。そこにはルーバー状の雨戸をフィルターとして設け、開口部を保護し、同時に日差しとプライバシーをコントロールしている。雨戸のルーバー材に厚みをもたせることで太陽が低い時期には奥まで光りが入り、夏の暑い時期つまり太陽が高い時期には直射日光が差し込まないようにしている。リビングには季節や時間によってルーバーの影が差し込み空間を彩る。
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外壁はフッ素塗装されたセメント系の素材で表面が平滑で清潔感がある。エントランスと縁側の上部には2階部分のボリュームがオーバーハングしており、軒下と同じ効果をはたしている。
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エントランスホールの床は大判のタイル、天井にはトップライト、壁面には大きな開口部を設け、明るい外部の延長のようなイメージでまとめられている。
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吹き抜けを見上げる。
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吹抜には大きな窓が設けられ室内に明るい光がふりそそぐ。
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リビング南側の窓は大きく確保しながらも近隣の将来の環境の変化を想定しルーバー状の雨戸を設けることでプライバシーを確保している。雨戸のルーバーは閉じた状態でも光や風邪を内部に取り込めるよう考えられている。
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2階部分はリビングから子供室まで一体化した空間となっている。家具や吹抜などでゾーニングされている。
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ニュートラルに仕上げられた和室。
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対比的に黒く塗装された1階の廊下。
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一面だけアクセントとして鮮やかな色のタイルを貼った浴室。
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吹抜空間には鉄骨のブリッジや階段がかかる。
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