Works
Architecture

堀切の家

所在地 東京都葛飾区
竣工年 2007年
規模・構造 木造2階建て
用途 専用住宅
敷地面積 221.74㎥
建築面積 104.84㎥
延床面積 134.09㎥
撮影 西川公朗
掲載誌 I'm home
MONOマガジン
コンセプト

性格の異なるふたつの庭のある住空間
借景の庭とプライベートな中庭から取り込まれた緑が生活を彩る。

今回の計画は若い夫婦の住宅で、敷地の東側は施主のおばあさまのお宅で、手入れされた広い和風庭園に面している。庭は完全に共有されているわけではないが、東側の敷地の境界に塀などはなく、その恩恵を十二分にうけている。そこで、リビングの和風庭園に面しては、高さを抑えた開口部を設け、縁側を経て視線が広がり借景として計画。また同時に、この家の中心としての中庭空間を別にもうけ、プライベートな中庭と借景としての和風庭園と性格を明確にして世代間の生活にほどよい距離感をとっている。中庭はシンボルツリーとしてヒメシャラを植えられ、通常は外部に対して開かれているが、可動式の建具で閉じることで完全にプライベートな中庭とすることもできる。中庭に面して吹き抜け空間を配置し、効果的に室内に光と風を室内にとりこんでいる。

門からアプローチまではあえて距離をとり建物の中心に位置する中庭に面した玄関まで導いている。玄関空間は上部にブリッジのかかった背の高い空間とし、吹き抜けの大きな壁をタイルで仕上げている。中庭からの光を柔らかく反射して玄関としての表情を作り来訪者を迎える。

リビングダイニングも大きな吹き抜けた空間とし、オープンリビングとして中庭まで拡張されてさらに開放的な雰囲気となっている。大きなガラス面は明るくてとてもいのだが、そのままでは夏場には直射日光が強すぎることになりかねない。そのため、室内側にスノコ形状のバルコニーをかけている。床面をスノコ状にすることで日よけになると同時に、日射しは縞状の影となり室内を彩る。ガラス面の高い位置にはルーバー窓を組み込んである。ルーバー形式とすることで開閉量を簡単に調整することができ風の流れをコントロール。雨の日でも通風を確保できる。バルコニーは窓のメンテナンスにも利用される。

この計画では素材のセレクトでも工夫している。外壁の素材は波型のスレート材を使用。通常は工場などの外壁としてワッシャーボルトでとめて使用されるような素材であるが、その素材を通気をとった上でフラットに施工し白く塗装している。通常のサイディングやモルタルとは違った陰影の表情をいかし上品に仕上げている。そのスレート材と同じ波型形状のすりガラスも存在するので、それをはめ殺しとして和室に使用。視線はさえぎりながらも波型のガラス特有の柔らかな光へと変化してくれるので、障子など和室との相性がとてもよい。ほかにも、料理用のアルミ角盆をベンドキャップからの排気汚れ防止に利用したり、塩ビパイプの小窓、ベルトコンベア用のステンレスメッシュ網を使用した仕切りなど、工業製品を利用したアイデアが随所にもりこまれている。

外観。交通量の多い道路側に面しての開口部は最小限に抑えられている。塗装された波板スレートが陰影のある外壁をつくる。

中庭夜景。内部空間は中庭と一体化する。

玄関よりリビングを通して借景の庭を望む。リビングと玄関の間のガラスには視線をコントロールするステンレスメッシュが吊るされている。

天井の高いリビング空間。南側に中庭がアウトドアリビングとして配置される。大きなガラス面にはメンテナンスと日よけをかねたスノコ状のブリッジがかかる。東側には借景の庭が広がっている。

天井の高い空間には、北側の高窓と東側の借景の開口から穏やかな光が差し込む。

予備室。大きな引き戸を開けると、空間はどこまでもつながってゆく。

寝室。照明の明るさが自由にコントロールできる。

和室。黒く塗装された室内に障子と半透明の波形ガラスにより微妙に変化した柔らかな光が差し込む。

借景の庭に面した開口部には穴あき板でつくられた雨戸が設けてある。

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一級建築士事務所 ヒマラヤ

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